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「扶養に入る」その3 103万円のライン・補足

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2017年1月9日

こんにちは、加藤丈博です。

本日のブログは
「扶養に入る」その1 103万円のライン
の補足(余談?)をお送りいたします。

まずはおさらいから、

税法上の扶養家族の要件は、

・家族/親族である(→内縁の妻等はNG)
・納税者(扶養者)と同一生計である
・被扶養者の合計所得金額が38万円以下である
・青色/白色申告者の事業専従者ではない

であり、このうち、

・被扶養者の合計所得金額が38万円以下である

が特に重要でした。
所得が「給与所得」のみであれば、給与所得控除が最低65万円あるので
給与収入が103万円
→給与所得控除65万円を差し引いた給与所得が38万円
→合計所得金額が38万円以下になるので扶養に入ることができる

ということでした。
では給与所得以外の所得がある人はどうなのでしょう。

そもそも合計所得金額とは何かというと、

①事業所得、不動産所得、利子所得、給与所得、総合課税の配当所得・短期譲渡所得、雑所得 の合計額(損益通算後)
②総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後)の2分の1
③申告分離課税される所得(特別控除がある場合は控除前の金額)
※各所得について繰越控除を受けている場合はその適用前の金額

①②③の合計のことを言います。
専門用語だらけなので簡単に説明します。
(といっても長いですが……)

事業所得
→いわゆる「個人事業主」の、年間の利益のこと
(青色申告をしている場合は青色申告特別控除の控除後)
不動産所得
→不動産を賃貸している人の、年間の利益のこと
(青色申告をしている場合は青色申告特別控除後)
利子所得
→預貯金や公社債等の利子などのこと
ただし国内で生じる利子所得は源泉分離課税という制度により、確定申告の外で処理が完結しており、
外国の金融機関等の利子のみが利子所得の計算の対象となります
→知人や個人事業主が取引先等にお金を貸付けた際の利子は雑所得や事業所得になります
給与所得
→勤務先から受ける給料や賞与から給与所得控除を差し引いた金額のこと
総合課税の配当所得
→株主や出資者が受け取る配当のうち、総合課税を選択したもの
(総合課税と申告分離課税についてはまた後日)
総合課税の短期譲渡所得/総合課税の長期譲渡所得
→生活用ではない動産などを譲渡した際の利益のこと
雑所得
→他の所得のいずれにも該当しない所得の利益(公的年金の場合は収入金額-公的年金等控除額)
→具体的には
・個人事業主まではいかない程度の規模の事業
・作家等以外が受ける原稿料、印税、講演料等
・プライベートのお金の貸付から生じた利子
・公的年金
などがあります。
一時所得
→偶発的・臨時的・一時的な所得で、労務や役務の対価でも資産の譲渡による対価でもないもののこと
ここから収入を得るために支出した金額及び50万円を引いた金額が一時所得の金額になります。
→具体的には
・懸賞や福引の景品
・競馬などの払戻金
・生命保険の一時金
・法人から贈与された金品
などがあります。
申告分離課税される所得
→株式の売買益(株式譲渡所得)、退職金の収入(退職所得)、山林の伐採による所得(山林所得)、不動産の売却益(譲渡所得)、先物取引・FX取引(雑所得)
などがあります。

予想以上に長くなりました……

要するに、これらすべてを足し合わせたものが
「合計所得金額」
になるわけです。
“たまたまその年だけ”であったとしても、合計所得金額が38万円を超えるようなことがあれば
その人は扶養家族から外れないといけないのです。
例えば、以下のようなケースが考えられます。

・大学生の息子にはホストクラブで50万円の収入(≒利益)があった、確定申告はしていない
→給与所得ではなく事業所得である可能性が高いので、合計所得金額が38万円を超える
(お給料と言いながら給与所得ではないお仕事は結構あります。そして確定申告はちゃんとしましょう)

・パートの年収が100万円弱ある妻が受取人になっているがん保険の一時金が支払われた
→給与所得と一時所得を合わせると合計所得金額が38万円を超える

・社長の妻が、自分名義の株式を時価評価額で子どもに譲渡した
→譲渡所得が38万円を超える

・妻が親から相続した不動産を売却したところ、値上がりしていた
→譲渡所得が38万円を超える
上記はどれも確定申告が必要なケースなので、
その際に「扶養から外れている」ことに気がつければいいのですが……

それに気が付かずにいると、
ある日税務署からお尋ねが……

といったことにもなりかねません。
通常は、

夫が年末調整関連の書類を書く
方が

その後、妻や子どもが確定申告をする
より先です。

もし扶養家族の人数を誤ったまま年末調整が済んでしまっている場合、
夫が自身で確定申告をする(或いは会社で再度年末調整をし直す)必要があります。
お気を付けください。
今日もここまで読んでいただきありがとうございます。

〇〇所得 というのがいろいろと登場しました。
今日は駆け足での説明でしたので、
明日以降、もう少し各所得について掘り下げていこうと思います。

 

 

 
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