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所得の種類 その4 山林所得

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2017年1月15日

こんにちは、加藤丈博です。

 

今回は山林所得について書いていきます。
おそらく10種類の所得のうち、
もっとも縁遠いのがこの山林所得かと思います。
なにせ「山林」を所有していないと生じようがないからです。
その一方で、山林所得には独特の考え方もありますので、ぜひ読んでいただければと思います。

 

7.山林所得

①山林所得とは
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。
ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。
また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。

→山林所得は事業所得と同じく、勤労性所得と資産性所得の結合したものであるものの、
一方で事業の特異性(植樹から所得獲得までが長期にわたる)から、事業所得に比べ様々な優遇がされており、所得の分類上も事業所得と分けられています。

 

 

②所得の計算方法
山林所得の金額は
総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)=山林所得の金額
と計算されます。

 

(1)総収入金額
伐採した樹木や立木の譲渡の対価が収入金額となります。
なお、山林を伐採して自身の家屋を建築するために使用するなど家事のために消費した場合は、
その消費した時の時価を総収入金額に含める必要があります。

 

(2)必要経費
必要経費は、植林費などの取得費のほか、
下刈費などの育成費、維持管理のために必要な管理費、さらに、伐採費、搬出費、仲介手数料などの譲渡費用です。

 

(3)必要経費の特例
必要経費には、概算経費控除といわれる特例もあります。
伐採又は譲渡した年の15年前の12月31日以前から引き続き所有していた山林を伐採又は譲渡した場合は、
収入金額から伐採費などの譲渡費用を差し引いた金額の50%に相当する金額に伐採費などの譲渡費用を加えた金額を必要経費とすることができます。

→植樹から伐採までが非常に長期にわたる場合の規定です。
事業所得の場合、領収書等の保管義務は7年間ですが、それをはるかに超えています。
実務上の負担を軽減するためにこのような特例を設けているものと思われます。

 
③山林所得の税額の計算方法
山林所得は退職所得などと同様に、他の所得と合計せず分離して税額を計算します。
また5分5乗方式という他の所得にはない計算方法を用います。
5分5乗方式とは

(山林所得の金額×1/5×税率)×5

という計算方法です。

→山林所得も退職所得と同様、伐採・譲渡のあった年に一時に多額の税額が生じてしまいます。
そこで、過去5年間に平準的に所得が生じたものとし(5分)、その5年分(5乗)を税額とすることで、
一般の事業所得との均衡をとっているものと考えられます。

 

④山林所得と青色申告
山林所得においても青色申告をすることができます。
しかし山林所得については、不動産所得や事業所得のような青色申告特別控除は設けられておらず、
青色申告が大きな節税になるといったことはありません。

 

 

本日もここまで読んでいただきありがとうございます。
山林所得について、いかがでしたでしょうか。

余談ではありますが、
私が税務について学んでいたとき(それも相当最初の方ですが)、
いつかはすべての所得について確定申告してみたいと思ったことがありました。
山林所得の申告ができる日……
訪れるんですかね……

そもそもいままで一度も山林所得の申告を依頼されたことがないので
実際にどのような実務になるのかも理解していないのが実情です。
このことをご理解いただいたうえで、山林所得の申告をご依頼いただけるという方がいらっしゃいましたら大歓迎です。
むしろ勉強させていただく意味も込めて破格でのご対応、させていただければと思います。

今回は少し短めの更新となりました。
というのも、次回の譲渡所得については
譲渡するモノが何かによって、申告内容が複雑多岐にわたるため、
山林所得と一度には難しかったためです。

次回の更新も宜しくお願い致します。

 
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