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所得の種類 その5 譲渡所得(不動産の譲渡所得)

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2017年1月17日

こんにちは、加藤丈博です。

本日のブログは譲渡所得のうち不動産の譲渡所得について書いていきます。

 

とその前に、
昨日のブログの終わりにクイズを載せました。
それについて先に書かせていただきます。
近い将来、ある特定の日に「金」なり「プラチナ」なりを売買すると、
100%に近い確率で利益を出せるときがあります。
それはいつでしょう?

という問題でした。

答えは、

「平成29年9月30日から10月1日にかけて」

或いは

「消費税が8%から10%に変わる日」

です。
本体価格100,000円で9月30日に買い、10月1日に売れば
消費税分2,000円儲かります。

金の売買を行う消費税課税事業者でなければ
消費税の差益2,000円は納税する必要がないので、
まるまる儲けになるという寸法、これが答えでした。

 

 

ここからは、本題に移ります。

8-2.土地、建物の譲渡所得
①譲渡所得の計算
土地、建物の譲渡所得の金額は

収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額

で計算されます。

はい、総合課税される譲渡所得とほぼ一緒です。
以下の内容でも昨日と重複する部分がだいぶありますので
そのあたりはさくさく進めさせていただきます。

 

(1)収入金額
収入金額は、通常土地や建物を売ったことによって買主から受け取る金銭の額です。
しかし、土地建物を現物出資して株式を受け取った場合のように、金銭以外の物や権利で受け取った場合にはその物や権利の時価が収入金額となります。
また、土地建物を交換した場合については、交換に出した土地建物の時価を収入金額とみなします。

 

(2)取得費
取得費には、譲渡した土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか、
設備を設置した場合(塀を造ったなど)はその設備費、
改良を加えた場合(耐震工事や増改築など)はその改良費なども含まれます。

ここで一点注意が必要です。
建物の取得費は、購入/建築代金などの合計額(取得価額)から、
減価償却費相当額を差し引いた金額となります。

減価償却費相当額とは、
いわゆる経年劣化を金額で表したものです。

税法上、建物を含む固定資産について、資産の種類・細目ごとに
「法定耐用年数」が設定されており、
対応する「償却率」によって減価償却を行います。
その建物が事業に使われていた(賃貸等)場合であれば、
建物を取得してから売るまでの毎年の減価償却費の合計が減価償却費相当額となり、

事業に使われていなかった(通常の居住用等)のであれば、
建物の耐用年数の1.5倍の年数に対応する旧定額法の償却率で求めた1年当たりの減価償却費相当額に
その建物を取得してから売るまでの経過年数を乗じたものが減価償却費相当額となります。
→単に取得時よりも値下がりしているからといって、
収入金額-取得費がマイナスになる=税金が生じないわけではありません。
またそのほか取得費に含まれる主なものは以下の通りです。

・登記費用(※)
・不動産取得税(※)
・売買契約時の印紙税(※)
・立退料
・土地の造成費用
・土地の測量料
・もともと建っていた建物の取り壊し費用
・既に締結していた購入契約を取りやめて、他の物件を購入した場合に支払った違約金

※その土地建物が事業用だった場合は取得費に含みません。
→すでに事業の経費に含まれているため

 

 

(3)譲渡費用
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです。
主なものは以下の通りです。

・仲介手数料
・売主が負担した売買契約時の印紙税
・貸家を売るために店子に支払った立退料
・土地などを売るために上物を取り壊した場合の取り壊し費用、建物の価額
・既に締結していた売却契約を取りやめて、更に有利な条件で売る場合に支払った違約金
・売却するものが借地権などの場合に、地主の許可を得るために支払った名義書換料など

→建物の修繕費(取得費に含まれないもの)や、固定資産税などの維持費は含まれません。

 

 

(4)特別控除額
土地や建物を譲渡した場合、一定の要件を満たす物件を譲渡すると、
以下の特別控除額が発生します。

・収用等により土地や建物を譲渡した場合 →5,000万円
・マイホームを譲渡した場合 →3,000万円
・特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合 →2,000万円
・特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合 →1,500万円
・平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合 →1,000万円
・農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 →800万円

 

このうち要件を満たしやすいのは

・マイホームを譲渡した場合 →3,000万円

ですが、この特別控除にはひとつ重要な注意点があります。

この3,000万円控除をすると「住宅ローン控除」が受けられなくなる場合があるのです。

住宅ローン控除を受ける要件の1つに、
・住み始めた年と、その前後2年ずつの5年間に、
「マイホームを譲渡した場合の3,000万円控除」を受けていないこと
というのがあるためです。

 

「持ち家を売って、新築物件に買い替える」方が
持ち家を売った場合の確定申告を自身で行うなどといった際、
「取得費や譲渡費用がよくわからん、微妙に譲渡益が出そうだけど3,000万円には届かないから適当に計算して3,000万円控除を使おう」
としてしまうと、後で住宅ローン控除を受けられずに後悔する可能性があります。
(というか、過去に1度、こういう失敗をされた方を目の当たりにしています)

 

買い替える物件が中古物件(住宅ローン控除の対象外)であれば問題は起きないのですが、
そうでない場合は無理に自身で確定申告(特に売却時)をすることはおすすめできません。
是非ともご相談いただければと思います。

 

本日もここまで読んでいただきありがとうございます。
正直、土地、建物の譲渡所得の計算はかなり煩雑です。
依頼していただく我々も、取得費や譲渡費用についてもれなく計算するために、
あれやこれやと資料をご用意頂かなければならず、
「税理士に頼んだのにぜんぜん楽じゃなかった!」
と言われてしまうこともあります。

計算自体がそれほどまでに煩雑になっているからだということ、
ご理解いただければ幸いです。

 

さて、次回は株式の譲渡所得についてになります。
長かった譲渡所得も最後です。
次回の更新もよろしくお願いします。

 

 

 

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