2017年12月28日
こんにちは、加藤丈博です。
本日は高所得者の税制改正について書いていきます。
といっても殆どは給与所得に関してですが。
①給与所得控除の上限の引き下げ
給与所得控除とは給与収入から差し引ける必要経費のようなもので、
領収書を集めたり経費を集計することなく一律に控除額が決まっています。
平成29年分の給与所得控除は以下のように決まってます。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円 |
|
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超 | 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
今回改正が入るのは給与収入が850万円を超える方の部分です。
平成32年分以降、給与所得控除額の上限が195万円(※)となります。
これは給与収入になおすと850万円で、
給与収入が850万円を超えると、その超えた部分には必要経費が生じていないとみなされるわけです。
※平成32年分から給与所得控除が一律10万円引き下げ、基礎控除が一律10万円引き上げになることを反映した後の金額。
現行の205万円に相当する。
この給与所得控除、徐々に上限の引き下げが行われています。
来年以降も引き続き改正が議論される可能性は大いに考えられます。
(参考)
平成24年分以前:
上限額なし(給与収入1,000万円超の給与所得控除は収入金額×5%+1,700,000円)
平成25年分~平成27年分:
上限2,450,000円(給与収入1,500万円に相当)
平成28年分:
上限2,300,000円(給与収入1,200万円に相当)
平成29年分:
上限2,200,000円(給与収入1,000万円に相当)
②配偶者控除の引き下げ
こちらは既に決まっており、来年から実施される内容です。
本人の合計所得金額が900万円超(※)の方は、以下のように配偶者控除が減ります。
合計所得金額900万円超950万円以下 26万円(老人控除対象配偶者は32万円)
合計所得金額950万円超1,000万円以下 13万円(同16万円)
合計所得金額1,000万円超 控除額なし(同なし)
※総合課税される所得が給与所得のみの場合、合計所得金額を給与収入になおすと
合計所得金額900万円=給与収入1,120万円(平成32年以後は1,095万円)
合計所得金額950万円=給与収入1,170万円(平成32年以後は1,145万円)
合計所得金額1,000万円=給与収入1,220万円(平成32年以後は1,195万円)
配偶者特別控除についても同様に引き下げが行われます。
③23歳未満の扶養親族がいる場合等の調整
給与収入が850万円を超えていて、かつ、
・23歳未満の扶養親族がいる
・自身が特別障害者
・特別障害者の配偶者及び扶養親族がいる
この何れかに該当する場合には
給与収入が850万円を超えた分(上限1,000万円)の10%給与所得控除に加算できるとのものです。
もともと給与収入850万円~1,000万円の場合の給与所得控除は10%なので、
上記に該当する場合は①の給与所得控除の引き下げを行わないようになっています。
なおここで言う扶養親族とは、控除対象扶養親族よりも定義の幅が広いと思われます。
扶養親族:
・6親等内の血族及び3親等以内の姻族など
・納税者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が38万円以下である
・青色/白色の事業専従者ではない
控除対象扶養親族:
・扶養親族のうちその年の末時点で16歳以上の者
お間違えのないようお気を付けください。