ホーム > 税理士加藤のブログ > 所得の種類 その5 譲渡所得(総合課税される譲渡所得)

所得の種類 その5 譲渡所得(総合課税される譲渡所得)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2017年1月16日

こんにちは、加藤丈博です。
今回は譲渡所得について書いていきます。
が、一口に譲渡所得と言っても、

・総合所得の譲渡所得 短期/長期
(生活に必要ではない動産等)
・不動産の譲渡所得 短期/長期
・株式の譲渡所得

これら多岐にわたるので、おそらく何回かに分かれると思います。

 

 

8-0.譲渡所得(全般)
譲渡所得とは、土地、建物、株式等、ゴルフ会員権、金地金、宝石、骨とう品などの資産を譲渡することによって生ずる所得を言います。

ただし、以下のようなものの譲渡は譲渡所得にはなりません。
・事業用の商品、棚卸資産 →事業所得
・山林(土地部分を除く)→山林所得(事業所得、雑所得)
・通常生活に必要な動産 →課税されない
・通常生活に必要な動産等であっても、継続的に譲渡している場合 →事業所得(雑所得)
・破産時などの強制換価手続(競売など)による場合 →課税されない
・国または地方公共団体に対する寄付 →課税されない
・国等に対して重要文化財等を譲渡した場合 →課税されない

一方で、譲渡所得でいうところの「譲渡」とは
通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。
以下のようなケースは実際に対価を得ていなくとも課税関係が生じるので注意が必要です。
・資産の交換 →時価で譲渡しあったものとみなされる
・離婚による財産分与 →時価で譲渡したものとみなされる
・法人への現物出資 →出資額で譲渡したものとみなされる
・法人への贈与(著しく低い価額での譲渡) →時価で譲渡したものとみなされる
・個人への贈与(〃)→ 受贈者側で時価で贈与があったものとして贈与税が生じる
・地上権、借地権、地役権などを設定して権利金などを受け取った場合 →一定の場合はは譲渡所得として課税

 

8-1.総合課税される譲渡所得
①譲渡所得の計算
譲渡所得のうち、土地、建物、株式等以外の資産を譲渡した場合の譲渡所得の金額は

イ 短期譲渡所得の金額
総収入金額-(取得費+譲渡費用)=短期譲渡所得の金額

ロ 長期譲渡所得の金額
総収入金額-(取得費+譲渡費用)=長期譲渡所得の金額

ハ 総合課税される譲渡所得
イ+ロ-特別控除額(最大50万円)=総合課税される譲渡所得の金額

と計算されます。

(1)長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分
長期と短期の区分は、その資産を所有していた期間が5年以下か5年超かで判断します。
ただし、自己の研究成果である特許権などは所有期間に関係なく長期に区分されます。

(2)総収入金額
譲渡の対価のほか、譲渡があったとみなされる部分の対価についても
総収入金額に含められます。

(3)取得費
取得費とは譲渡した資産を購入した際の対価のほかに、
購入手数料や改良費などが含まれます。

→例えばダイヤの原石を購入し、それをカッティングしたものであれば、
そのカッティング費用は取得費に含まれます。

(4)譲渡費用
譲渡費用とは売るために直接かかった費用をいいます。

→売買契約書の印紙税、オークション費用、譲渡にあたり行った鑑定料などは譲渡費用に含まれます。
→その資産の維持、管理のためにかかった費用は譲渡費用には含まれません。

(5)特別控除額
特別控除額は短期譲渡所得と長期譲渡所得の合計で最大50万円あります。
“最大”とあるのは譲渡益が50万円に満たない場合には、譲渡益=特別控除額(=税金がかからない)ためです。

 

②総合課税される譲渡所得の税額の計算方法
総合課税される譲渡所得は、給与所得や事業所得と合計したうえで課税されます。
そのため他の総合課税される所得が多い年に、譲渡所得が生じた場合、
課される税率が高くなる場合があります。

→××年10月で定年退職を迎える(そこまでは給与所得がある)人が、骨とう品を譲渡するのであれば、
同じ年中に譲渡するよりもその翌年に譲渡したほうが所得税が低くなる場合があるということになります。

 

総合課税される譲渡所得について、以上となります。

 

案の定、長くなってしまいました……

土地、建物の譲渡所得については明日に、
株式の譲渡所得については明後日に、
それぞれ回させていただこうと思います。

本日もここまで読んでいただきありがとうございます。
私の願望(野望?)でもある
「全ての所得について確定申告してみたい」
昨日の山林所得の次に難しいのが総合課税される譲渡所得かもしれません。
高値で売れる骨とう品などを持っていないことには、譲渡益の出しようがないからです。
或いは「金」や「プラチナ」など、値動きがある貴金属も可能性がありますが、
50万円の譲渡益を出そうと思ったらかなり大変そうですものね……
貴金属で思い出しました。
もうひとつ、余談というかクイズです。

近い将来、ある特定の日に「金」なり「プラチナ」なりを売買すると、
100%に近い確率で利益を出せるときがあります。
それはいつでしょう?

ヒント:直近30年で、その特定の日は3回ありました。

答えは明日のブログに掲載します。
それでは次回の更新もよろしくお願いします。

 
ブログの内容に関するご質問やご相談
ブログに関係なくご質問やご相談
↓↓にてお待ちしております↓↓

【住所】
神奈川県川崎市本町1-3-6
スターライトヒルズカワサキ401【TEL/FAX】
TEL:044-201-7040
FAX:044-201-7048【アクセス】
JR川崎駅東口より徒歩10分
京急川崎駅より徒歩7分
1階のコインランドリーが目印のビルの4階にあります。

【グループ会社のHP】
株式会社プレッジ・コンサルティング
プレッジ総合会計事務所
http://pledge-group.co.jp

ページの先頭へ戻る